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6インチ画面の超小型PC、話題の「GPDMicroPC」を買ってみた

Created on:2019-07-24 16:45

「ウルトラモバイルPC(UMPC)」を覚えているだろうか。

UMPCは、米インテル(Intel)や米マイクロソフト(Microsoft)が2006年に提唱した超小型PCの総称だ。今はこう呼ぶことは無くなったが、かつては日本メーカーをはじめ、様々なメーカーがUMPCを市場に投入しており、モバイルPCの中心的存在だった。

しかしトレンドは、時代とともに変わっていく。モバイルPCは次第に高性能化、大画面化に向かっていった。現在のトレンドは、薄型軽量で12~14インチ画面のノートPCだと言えるだろう。高性能も特徴に掲げており、価格も10万円以上するものが大半だ。一方UMPCは製品が出なくなり、存在感が無くなってしまった。

そんな中、2017年に突如クラウドファンディングで超小型PCの新製品が登場した。中国ShenzhenGPDTechnologyの「GPDPocket」である。7インチのディスプレーを搭載し、180×106×18.5ミリ、510グラムと小型軽量のノートPCである。UMPCというキーワードは使われなかったが、6万円程度(市販で購入した場合)と比較的安価なこともあって注目を集めた。

関連記事:たった480g!小型を追求したノートPC「GPDPocket」をレビュー

にわかに市場が盛り上がってきた。GPDは、CPUをより高性能なCorem3に変更したGPDPocketの新機種「GPDPocket2」を投入している。より大きなサイズのノートPCと同じく、高性能化に向かったのだ。

ところが、GPDが2019年6月に出してきた「GPDMicroPC」は、昨今のトレンドである大画面化、高性能化とは逆を行く製品だった。画面サイズは、GPDPocket2の7インチ(解像度1920×1200)よりさらに小さい6インチディスプレー(解像度1280×720)。CPUもGPDPocket2よりは下位になるCeleron4100である。そこで今回は、なぜこうしたスペックになったのかを考えながら、GPDMicroPCをレビューしていく。

 

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GPDMicroPC(撮影:伊藤浩一、以下同じ)

 

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GPDMicroPC(左)とGPDPocket(右)。いずれも超小型だがスペックは結構違う

 

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パッケージの同梱(どうこん)物

 

画面はさらに小さく、ポートはさらに多く

 

GPDがGPDMicroPCに、GPDPocket2よりさらに小さい6インチディスプレーを搭載したのは、サーバールームなどで作業するネットワークエンジニアなどをターゲットにした機種だからだ。画面の大きさや動作の速さよりも、狭いスペースでも使える点に重きが置かれているわけである。なお、ディスプレーにはタッチ機能が付いていない。

本体サイズも、GPDPocket2の181×113×8~14ミリに対して153×113×23.5ミリと、高さは増したものの幅は28ミリ狭くなっている。重量は440グラムで、GPDPocket2の510グラムより若干軽い。

小型化してはいるが、本体に搭載するポート類に関しては一切妥協が無い。むしろ、その充実ぶりは目を見張るものがある。

まず本体背面には、USBType-C、USBType-A×2、HDMI2.0TypeA、RS-232、有線LAN(RJ-45)のポートがある。底面には銅ナットがあり、ネジでハンガー、スタンド、リフトなどに固定できる。

 

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GPDMicroPCの背面にあるポート

 

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GPDMicroPCの底面

 

左側面にはUSBType-AポートとmicroSDスロット、右側面にはリセットボタンが設けられている。そして前面にはイヤホンジャックと、落下防止用のストラップを付けられるストラップホールがある。

GPDPocket2が備えるポート類はUSBType-A×2とUSBType-C、イヤホンジャック、microSDスロットであるのと比べると、GPDmicroPCのポート類はかなり充実していることが分かる。RS-232やストラップホールがあるあたりは、用途を限定したプロ向けの製品だと感じる。

 

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GPDMicroPCの左側面

 

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GPDMicroPCの右側面

 

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前面にイヤホンジャックとストラップホールがある

 

OSはWindows10Proを搭載

 

OSはWindows10Proを搭載している。普通このクラスのPCだと、OSはだいたいWindows10Homeだろう。メモリーは8Gバイト、ストレージはM.2タイプのSSDで容量は128Gバイトだ。お世辞にも余裕があるとは言えないが、最小限というわけでもない。

一般的なノートPCと同じQWERTYキーボードを搭載している。ただスペースに余裕が無いためか、数字キーが2段になっているなどキー配列は特殊だ。キーボードはバックライト機能を備えており、暗めのところでも使いやすくなっている。

このサイズながら、タッチパッドも備えている。これもスペースの関係からだと思われるが、タッチパッドは本体右側、左ボタンと右ボタン、スクロールホイールは本体左側という変則的な配置になっている。

 

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QWERTYキーボードとタッチパッドを備える

 

クラウドファンディングの「Indiegogo」で出資

 

GPDMicroPCの発表時、筆者はプレスリリースを見て「これはかつて、モバイルユーザーが期待していたような機種ではないか」と感じた。

小さなディスプレーに小さなキーボード、かつフルのWindowsが動く。まさに機種名の通り、ポケットに入れて持ち歩けるPCだ。ぜひ使ってみたいと思い、出資者を募っていたクラウドファンディングの「Indiegogo」で出資することにした。

結局GPDは、調達目標額を悠々と達成(約7880万円を調達した)。筆者は無事、初期発送の初期ロットに間に合ったようで、ユーザーとしては最速の6月中旬に入手できた。6月26日現在は一般販売の予約受付中で、5万円程度の価格が付いているようだ。

実際に使ってみて驚いたのは、GPDMicroPCが意外に実用的だったことである。CPU(Celeron4100)は、それほど高性能ではない。しかし小さなディスプレーが幸いしてか、きびきびと動作する。Webブラウジングやメール送受信といった用途なら、十分な速度でこなす。逆に大画面と高い処理性能を必要とするアプリは、この機種には向かないと思う。

6インチの小型ディスプレーは、拡大縮小を併用すれば視認性はそれほど悪くない印象だ。バッテリー駆動時間は、カタログ値で6~8時間。筆者個人はこれで十分だと感じている。

両手で持ってキーボードを親指で打つ「親指入力」などと呼ぶ入力方法が、大変やりやすいことも驚きだった。親指入力というと、かつてのPDA(パーソナルデジタルアシスタント)である「HP200LX」の定番入力スタイルだった。HP200LXユーザーにとって使いやすい入力スタイルで、この入力スタイルを「HP打ち」と呼んだ人もいたほどである。タッチパッドも、両手持ちで使いやすい位置にある。

 

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GPDMicroPCで親指入力

 

HP打ちがしやすいフルスペックのWindowsが動く端末が、HP200LXの発売から25年後にリリースされるとは思わなかった。試しに、GPDMicroPCとHP200LXを並べてみると、GPDMicroPCの方が横幅が狭いことが分かって、また驚いた。MS-DOSが動作するモノクロディスプレー端末より、Windows10が動く6インチPCの方が横幅が狭いわけで、モバイルの進化を感じた瞬間だった。

 

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GPDmicroPCとHP200LXの比較

GPDMicroPCは、基本的にはあらゆる作業をこなせるオールマイティーなPCではなく、ポテンシャルを理解して自分の用途に合わせてカスタマイズして使うPCだろう。

GPDは、対象ユーザーの例としてネットワークエンジニアを挙げている。作業スペースが限られている場面でフルスペックのWindowsを使いたい、シリアルポートもLANポートも必要、といった作業条件が発生する可能性があるネットワークエンジニアにとって、GPDMicroPCは便利だろう。

ただし、モバイルユーザーにとっても役立つ場面はあるはずだ。例えば、ハイスペックなノートPCをメインで使い、GPDMicroPCを予備機として持つような選択肢が考えられる。

出張が多い人ならば、豊富なポート類を生かして、有線LANしか無いようなホテルや、HDMIでモニターに出力したいような場面でも重宝するはずだ。特にHDMIは4K出力に対応しており、高解像度で出力可能だ。

いろいろな可能性のあるGPDMicroPCは、ネットワークエンジニアだけではなく、モバイルユーザーの夢も詰まった、毎日持ち歩きたくなるPCだと感じている。

 

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